小説「冷静と情熱のあいだ」をレビュー!切なくて切なくて苦しい!

小説「冷静と情熱のあいだ」をレビュー!切なくて切なくて苦しい!

冷静と情熱のあいだを最初に読んだのは今から10年以上前。人気作品とは知らず、同じタイトルの本が色違いで2冊置いてあったのでどういうことなのだろうと手にとったのがきっかけで本を購入しました。タイトルの「冷静と情熱のあいだ」って何だろうと思ったのも興味を惹かれたポイントでした。

現在でも人気の作品「冷静と情熱のあいだ」とは一体どんな作品なのか、簡単なあらすじとネタバレなしのレビューでご紹介いたします。




「冷静と情熱のあいだ」について

男性視点の話の青い本、女性視点の赤い本の2冊で1作品になっている変わった形態の恋愛小説で1991年に出版されました。元々月刊誌に、江國香織さんが女性視点でのストーリーを書いて、次の月は辻仁成さんが男性視点で書く、という風に交互連載されていたもので本にする際に男性視点と女性視点の2冊になりました。映画化もされた人気の小説です。

作者について

男性視点を書いた辻仁成さんは1959年、東京都出身。ECHOES(エコーズ)というロックバンドのボーカルとしてデビューしたあと、小説「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞して作家デビューしました。「海峡の光」で芥川賞受賞、「ミラクル」という小説は高校の教科書に使われ知名度の高い人気の作家さんです。

参考サイト:Jinsei TSUJI Hitonari official web site辻仁成 | 著者プロフィール | 新潮社

女性視点を書いた江國香織さんは1964年東京都出身。「きらきらひかる」で紫式部文学賞を受賞し同作品は映画化もされました。「号泣する準備はできていた」で直木賞を受賞するなど、数多くの賞を受賞している作家さんです。小説の他にも、詩作や海外絵本の翻訳もしています。

参考サイト:江國香織 | 著者プロフィール | 新潮社

内容

かつて恋人同士であった順正とあおいのお話。いつまでも忘れられないかつての恋人のことを想いながら生活する順正と、過去と決別するために生きているあおいの心情が巧みに描かれています。

レビューと評価

タイトルの「冷静と情熱」とは言い換えると、「理性と本能」ということなのではないでしょうか。好きだという気持ちだけに従って恋愛をするというのは、まさに情熱的であり本能的です。結婚を考えて相手の経済力や結婚生活を見据えて相手を選ぶというのは冷静で理性的です。

どちらが正しくてどちらが間違いということはありませんし、人間は冷静と情熱の両方を持って生きていると思います。

順正はあおいのことが忘れられない、男としてはちょっと弱々しく過去の恋愛を引きずるタイプの男性です。あおいと別れてからのパートナーはあおいとは逆のタイプで、過去を無理やり忘れようとしているように感じました。

一方あおいは、理性的で頭の良いパートナーと生活していて、できるだけ感情を抑えて静かに生きていこうとしていることがわかります。

失恋したあとって、前の恋人とは違うタイプの人を選んだりしませんか?そういう傾向にある人は忘れなくちゃいけない、忘れたい、という気持ちが強いのではないでしょうか。同じ失敗をしたくないという防衛本能なのかもしれませんね。

作品の舞台であるミラノとフィレンツェの情景が行ったことのない人にも思い浮かべることができ、途中から異国の地という意識すらなくなってまるでそこで自分も生活しているかのような錯覚をしてしまいます。その情景と順正の心情がマッチしていて陰鬱で薄暗い雰囲気を出しています。

物事が次々と起こるのではなく、二人の心理や感情を中心に描かれています。両方読むのが勿論良いのですが、どちらか一方を読むとしたら、女性なら赤、男性なら青をおすすめします。


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mubook的評価

悲しい ★★★☆☆
切ない ★★★★★
苦しい ★★☆☆☆
暗い  ★★★☆☆
重い  ★★☆☆☆

合計 15/25★
病んでる度60%

どんな人におすすめ?

・切ない恋愛小説が好きな人
・物語の多動性よりも心理描写を重視する人
・失恋した人
・難しい文章が苦手な人

当てはまる人は要チェックです!

1冊で読み切りたい人には

男性視点と女性視点で2冊になった「冷静と情熱のあいだ」ですが、交互連載していた時のように、章ごとに視点が切り替わる愛蔵版もあります。2冊に分かれているほうはより主人公に感情移入できますが、二人の視点を交互に読む愛蔵版では物語の流れがつかみやすいです。順正がこんな生活・気持ちでいる時、あおいはどうだったのかという比較がしやすいです。

 

映像で楽しみたい人はこちら

映像で楽しみたい人は映画化されているのでDVDもあります(実はビデオもあります)

 

もっと感情移入をしたい人はこちら

本を読む時は無音かクラシックをかけているのですが、サントラもよくかけています。作品の雰囲気に合った曲を流すと感情がぐっと高まり本を読み終わったあとにそのサントラを聴くと、作品の余韻に浸れて現実世界で息をするのが嫌になります。勿論褒め言葉です。

 

ちなみに私が一番好きなのは中居正広主演ドラマ「砂の器」のオリジナルサウンドトラックです。映画とかドラマの音楽って感情を揺さぶるような曲が多いので心が病んでる時に聴くとかなり泣けます

まとめ

小説「冷静と情熱のあいだ」は切ない気持ちになる恋愛小説です。一つの恋愛がもたらすその後の人間の変化や心理が描かれていて、失恋した人には共感を得る部分も多いと思います。

お互いのことが好きなのに離れなければならない理由、恋人同士の時に交わした約束はどうなるのか、それらがわかった時この小説の全容が明らかになります。内容は濃いですがとても読みやすいです。読んだことのない方は是非読んでみてください。

 

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