【保存版】読書垢のフォロワーさんが選ぶ2019年に読んで良かった本をまとめてみた

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冬になるとやたら眠くなる、青海ゆうきです。

 

去年の暮にTwitterのフォロワーさんが3500人を突破した(パチパチ

昨年からフォロワーさんが500人増える度にやろうと決めた企画の第二弾「読書垢のフォロワーさんが選ぶ2019年に読んでよかったおすすめ本」の記事作成が無事に完了した。

 

企画の説明はこちら

第一弾「読書垢のフォロワーさんが選ぶ2018年に読んで良かった本」はこちらから。

 

今回は9名のフォロワーさんと特別友人枠1名に参加してもらった。

前置きはこれぐらいで早速本編をどうぞ。

 

 

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読書垢のフォロワーさんが選ぶ2019年に読んで良かった本

 

参加してくれたのは全員読書垢(読了ツイートの多い人も含む)のフォロワーさんなので、繋がりたい!と思った人はTwitterリンクからフォローすべし。

 

 

むらさきのスカートの女/今村夏子

 

第161回芥川賞受賞作。ネットギャリーさんで見た書影の薄気味悪さに惹かれ発売前に読ませていただいた作品。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれ近所で子供達にもネタにされているが実は然して面白味もない普通の女。この女を観察する一人の女が語り手の中編小説。

“むらさきのスカートの女”と親しくなりたいと思いながらも接触せず遠回しに工作し近付き、観察をエスカレートさせる姿が、行動力があるのかないのか分からずとても不気味で、言葉にならない恐怖を覚えた。独り虚しい主人公が、勝手に自分と似てると思い込んだ人をターゲットにただただ“見るだけ”のストーキングをする本作は、待ち合わせなどで時間が余った時にふと人間観察をする感覚の延長の様に思い、のめり込み方は置いておくとしても共感が出来、それが更に面白さを誘って心に残った今年の1冊です。

K/@L1ke_a_childさんより

 

タイトルが「むらさきのスカートの女」、なのに本の表紙は水玉模様のスカート(?)を頭から被った二人の足だけが見えるという不気味さがまず僕の印象に残った。

むらさきのスカートの女が気になって負い続ける主人公なのだがそもそもむらさきのスカートの女というのが存在するのか、というところでもしかしたらこれは主人公の妄想上の人物ではないのかと勘ぐらせる部分もあり、むらさきのスカートの女を通して自分の内面を投影している作品なのかもしれない。

著者の今村夏子さんはこれまで出した作品数は多くないのだが、太宰治賞、三島由紀夫賞、河合隼雄物語賞、野間文芸新人賞、そして芥川賞と出版した本はほぼ賞を獲得している。

今年2020年には2017年に出版した「星の子」が映画化される予定だ。

 

 

 

悪女について/有吉佐和子

 

一人の女が死んだ。

その女の死因を探る為に27人にインタビューを敢行する。

そこで浮かび上がる女の素性。

「天使のよう」「本当に嫌な奴」etc、、、

長編だが短編のように読める。有吉佐和子の傑作。

答えがないのが答え。

かめさま@やさぐれ読書日常垢/@ksaikamone0120さんより

 

不審死を遂げた女性について彼女に関わる27人の人物にインタビュー形式で彼女のことについて聞いていくというちょっと変わった形式の物語。

感想にもあるように、ある人はいい人だと言うし、ある人は悪い人だと言ったりして本当はどんな人間なのかがだんだんわからなくなっていく。

人間誰しも仮面をつけながら生きている。周りからいい人、大人しい人、温厚な人だと思われていても何かがきっかけで人を殺してしまうこともあるし、こいつはひどいやつだと思われていても他の部分では優しい人間だったりもする。

この人はこういう人間だという評価は関わった人間によって変わってくるものだと思う。

おそらくこの物語もそういう人間の多面性を描いたものではないだろうか。

「悪女について」は評判も高く舞台、ドラマ化もされている。

 

 

 

 

風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった/ウィリアム・カムクワンバ

 

大切な人が痩せ細っていく姿を見たことがありますか?家族、友人、隣人が飢餓に苦しんでいる姿は?

アフリカのマラウイを襲った食糧危機。食べていくために学費が払えず、著者のカムクワンバくんは中学校に行けなくなる。貧困と飢餓に苦しむ中、彼は学び続けるために図書室に通い続けた。そこで一冊の本に出会う、『風力発電』。

廃品を利用し独学で風力発電をつくりあげた14歳の少年カムクワンバくん。学ぶことの本当の意味を教える感動のノンフィクション。

世界は、国は、何をみているのだろう。この一冊を読むべき、カムクワンバくんの見た世界を見るべきだ。

双子moon読書と創作/@moon61226676さんより

 

内容は上述の通りである。僕たちは今当たり前のように電気や水、ガスを使って生きている。教育も受けられないということはない。だから自分が最低限の生活を送るために必死に何かを学ぼうとすることも少ない気がする。

多くの人は義務教育だから勉強し、その勉強が何の役に立つのが疑問に思いながら生きている(とくに中学校までは)。

それはとても恵まれたことのはずなのに、いや、恵まれているからこそ日本では勉学や読書の本当の素晴らしさに気が付かず大人になっていく。

自分を豊かにするために、また自分の生活を守るために数少ないものから学びとり、実行し、周りの共感を得て目的を成し遂げる著者の姿は今の日本の若い人に知ってもらいたいと感じた。

 

 

 

 

インフェルノ/ダン・ブラウン

 

ダ・ヴィンチ・コードシリーズ。
神曲をテーマにした作品で、映画化もされてますね。
地獄の見取り図に散りばめられたヒントを頼りに人口を減らすために作られた病原菌のカプセルを探す教授と謎の女性、WHO。
ヨーロッパをまたにかけ追う、追われるのドキドキな展開と美術の豆知識もしれて面白いです。
最後の最後での予想外の裏切りもイチオシです。
だんて+/@dan173_100さんより

 

ダン・ブラウンの「ロバート・ラングドン」シリーズは秘密結社イルミナティに関する「天使と悪魔」、レオナルド・ダヴィンチの作品であるウィトルウィウス的人体図、モナ・リザ、岩窟の聖母マリア、最後の晩餐の謎のなぞらえたストーリーの「・ヴィンチー・コード」があり、その三作目がダンテの神曲をベースにした「インフェルノ」。

インフェルノは神曲の「地獄篇」のこと。ダンテの神曲は地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩で、イタリア文学の最大の古典とされている。

個人的にこういった宗教や神話などをモチーフにした作品は大好きで、知らなくても小説を読むことで興味を覚える場合も多い。

「ロバート・ラングドン」シリーズは謎解きサスペンスにアドベンチャーの要素が絡まった作品なので普通の推理小説よりもアクティブな印象を受ける。

今作も映画化されているが評価はいまいち。是非小説のほうをおすすめしたい。

 

 

 

 

鴨川ホルモー/万城目学

 

笑いあり、青春あり、恋愛あり、SFありと欲張りなほど様々な面白さが、絶妙にミックスされた作品。

「ホルモー」って何? から始まって、その奇想天外な事実に驚愕!登場人物それぞれの思惑が交差して、ラストは怒涛の爽快感!

読み終わった瞬間からもう一度読みたくなる作品でした。

滝田タイシン@創作・読書垢@TaisinTkitaさんより

 

中国、陰陽道をベースにした青春ファンタジー小説。

主人公は「京大青竜会」という謎のサークルに誘われる。サークルではオニを召喚して戦わせる「ホルモー」という競技が行われていた。

この時点でちょっと面白そうな話だなと思うのは僕だけだろうか。

おそらくおおまかに言えばファイナルファンタジーで召喚獣を使うような感覚に近いだろう。その中国版というイメージだ。

他の学校にもサークルはあってそれぞれ四神の名前だったり、主人公の名前は平安時代の陰陽師、安倍晴明からきていたりと陰陽道に対するオマージュが感じられる。

 

 

 

 

荒野のおおかみ/ヘルマン・ヘッセ

 

主人公のハラーは、真剣に生きすぎる余り「周りの人間以外の人間」とならざるを得なかった五十歳の男です。しかし、その生き方にも行き詰まってしまい、自殺をも考えていました。

そんな彼が「魔術劇場」に導かれながら、「周りの人間以外の人間、以外の人間」に発展しようとする過程が描かれた作品です。より豊かな人生を目指すも、行き詰っている人におすすめです。

反戦論者としてのヘッセの苦悩と、それを乗り越えてきた戦いの成果を感じ取れる作品だと思います。人格についての考察も鋭く、自分は読んで感嘆しました。

青い蝶/@alterEGOtabibitさんより

 

戦争を繰り返そうとする社会状況や、発達する文明に翻弄され日々の生活を送っている人々に対して批判したアウトサイダー的な話かと思いきや、自分と自分以外のもの、自分の内側にあるものとそれを否定する自分という精神分裂病に関わりのある話でもある。

人間は永続する統一体ではないという考え方は、仏教の因果に近いものを感じる。人は絶対的な単一の存在ではなく、因と縁によるもの。

自分の心や二面性、多面性に対する葛藤はそれに気づいた者にしかわからない孤独がつきまとう。

ずっしりと精神にのしかかる作品なので、自分の人生を見つめ直したり、自分とは一体何なのか考えている人におすすめしたい。

 

 

 

 

まんがと図解でわかる7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー

 

自分を変えたいと思い、名著中の名著を読んでみました。当たり前だと思いながら意識できていないこと、きちんと言語化できていないことが7つの習慣として紹介されていました。

特に、序章で述べられていた「インサイド・アウト」、第5の習慣である「理解して、そして理解される」は、ふとした時に見落としてしまいやすい傾向にあると思いました。しかし、重要なのは知っていることよりも実践していること。人生を変えるのは行動だけ。

2020年に向けて、7つの習慣を丁寧に実践していきたいと思います。そして来年は、原作も読みたいと思います。

だい@本好きな関西の大学生/@dai_readingさんより

 

最近文学小説と同じぐらい自己啓発本のツイートをよく見かける。自己啓発本と言うと難しそうだと感じてしまうかもしれないが、読んでみると意外と共感できる部分もあり、自分がこれからどういう風に生きていきたいかの道標になることもある。

今回の紹介本は漫画なので本が苦手な人でも手が出しやすい。

成功するためには(ビジネスに限らず)7つの習慣を身につけようという内容で、今でも人気のある「嫌われる勇気」にも通ずるところがある。

 

 

 

 

ショパンゾンビ・コンテスタント/町屋良平

 

新潮4月号で読み、すごく好きだと思った。それから数ヶ月経ち、10月の末に単行本化することを知った。それを受けてバイト先の本好きの人に薦めて読んでもらったが、「あの薦めてくれた本さあ……」と一口目で「まじで眠かった」と言われてしまった。

その人はたしかにどちらかと言うとエンタメ文学が好きだから、展開の次元で見ると確かにそうだと素直に思えた。鮮やかなほどに純文学だったのだ。言語化表現を注視すれば、不思議な体験だった。ふつう言語化となると思い描いていることのほとんどが削がれ、否応なく抽象作業を経る。ところがこの小説は表出された言葉を超えて何かを表している。イメージが浮力を持ち、それを言語化してさらに読まれることで、伝達を完了させている。当然なことだろうが、読み手に委ねるしかないところまでコントロールされている印象を受けた。

上のことがあったから、容易にはお薦めはしない。ただぼくのした不思議な読書体験をしてみたいという人には、是非手に取ってみてほしい、と思う。

鱒子 哉@masukokanaさんより

 

「1R 1分34秒」で芥川賞をとった町屋良平さんの作品。

ピアニストになることを止め小説家を目指す「ぼく」、ピアノの才能がある親友、その恋人、バイト先の友人、四人の青春物語。

鱒子さんの紹介文にもある通り、ハラハラするような展開が繰り広げられるエンタメ小説とは違い、低温で抑揚の少ない町屋さんらしい作風。

地の文と会話文のはっきりとした境界線が感じられないところが良さでもあり、そこが読み手を混乱させる要因にもなっているという読む人を選ぶ作品であると言える。

ただ本好きであればこういった本も一度は通っておきたい。

 

 

 

 

弟を殺した彼、と僕。/原田正治

 

著者の弟は交通事故死から一転、弟の雇用主に保険金目的で殺害されたことが後に判明(半田保険金殺人事件)。被害者遺族となった著者らを苦しめる様々な事を乗り越えつつ、弟を殺したかつての知人(弟の雇用主)と面会や文通を重ねる。

著者は決して彼を許している訳ではない。死刑囚が確定した途端、彼との面会が叶わず、被害者遺族の気持ちが置き去りにされた現状に対して行動を始める。著者は決して死刑廃止論者ではなく、弟を殺した彼に「なぜ弟だったのか」を聞くことができないままに、彼の死刑が執行された。被害者遺族の気持ちは置き去りのままの現状の問題点を問う必読の書だ。死刑存廃は被害者遺族の気持ちを抜きに議論を進めることは出来ないと思いました。

ドニー・ダーコ@読書垢たまに映画と漫画/@DDarko628さんより

 

死刑のあり方を考えさせられる一冊。

死刑についての論議はほとんど死そのものに対するもので、被害者に重点を置いた論議というのは二の次になってしまっている印象を受ける。

残された遺族は崖から突き落とされ、その崖に加害者を落とす崖の上の一般人。

遺族が望むのは加害者を落とすことではなく、自分たちを崖の上に上げてもらうことのはずなのに。

これからの死刑のありかたにこういう意見を尊重してほしいと思わされる一冊。

 

 

 

 

「番外編・友人が選ぶ2019年に読んで良かった本」

 

「フォロワーさんが選ぶ2019年に読んで良かった本」はTwitterのフォロワーさんからの応募で無事1つの記事になった。

この企画を始めた時、僕はある友人にも同じことを聞いてみたいと思いラインで「2018年に読んで一番良かった本の感想を送ってほしい」と依頼した。

それから一年、第二弾である今年の企画にも参加してもらえることになったので、最後に「友人が選ぶ2019年に読んで良かった本」を紹介する。

 

 

人間の土地/サン・テグジュペリ

 

不安定な機体と未整備の航空路。作家のサン=テグジュペリは、そんな時代に空を飛んだ最初期のパイロットの一人だった。第一次世界大戦では戦闘機、戦後は郵便飛行機に乗り、自身の体験を美しい文章で綴った。彼は命知らずの冒険家であり、様々な土地で生きる人間を見つめる詩人であり、否応なく変化していく歴史の証人だった。

サン=テグジュペリは第二次世界大戦に従軍中、地中海上で消息を絶った。彼の代表作である『星の王子さま』の主人公は、砂漠に不時着したパイロットである。

かよへい/@kayoheion2ndbsさんより

 

飛行士としての15年間の経験を基に綴られたアントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリのエッセイ集。

エッセイでありながら小説のような文の美しさが読者をサン=テグジュペリの世界へと誘う。

映画『紅の豚』で飛行艇乗りを描いた宮崎駿は、サン=テグジュペリの長年の愛読者であり、友情や人間はどう生きるべきかという一種の哲学的な問いをロマンチックに描いた作品を作り上げた背景には「人間の土地」や「夜間飛行」の存在があると思われる。

 

 

 

 

さいごに おまけつき

 

今回応募いただいたフォロワーさんに今年読みたい本を聞いてみたので紹介する。

具体的な作品名を出してくれた方からは

 

・「ガーンジー島の読書会」 メアリー・アン・シェイファーとアニー・バロウズ 

・「最後のひと葉 O・ヘンリー傑作選Ⅱ」 O・ヘンリー

・「鬼人幻燈抄」 中西モトオ

・「ツァラトゥストラはこう言った」 ニーチェ

・「赤と黒」 スタンダール

・「新聞という病」 門田隆将

・「パチンコ」 ミン・ジン・リー(邦訳待ち)

 

の名前が上がった。前回と比べ圧倒的に洋書が選ばれているのは偶然だろうか?

読書家の人が最終的にたどり着くのは洋書説が浮上しつつある。日本の文学は勿論素晴らしのだが、より視野を広げたいとなれば海外の本に行き着くのは当然のことなのかもしれない。

日本文学では有川浩、三浦しをんさんの本を読んでみたいという声もあった。

 

今回は洋書、ノンフィクション、自己啓発本など前回にはなかったジャンルの本が多く、さらにそういうジャンル分けをしないのであれば、宗教、哲学、心理学など学問よりの本が選ばれている。

これから日本文学以外の本を読もうと思っている人は是非この記事を参考にしてもらいたいと思う。

短い募集期間であったが、積極的に企画にご参加いただいた方々には心から感謝いたします。参加したかったが締め切りに間に合わなかった方、またこの記事を読んで参加したいと思った方は次回は是非参加してもらいたい。

次回はツイッターのフォロワー様が4000人を越えたら応募を呼びかけようと思う。

それではまた。

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