【加賀恭一郎シリーズ小説】東野圭吾「卒業」のレビュー。友達とは何なのかを考えさせられる一冊

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去年「祈りの幕が下りる時」の映画を観て、東野圭吾さんの加賀恭一郎(かがきょういちろう)シリーズを最初から読んでいる青海ゆうきです。

 

東野圭吾さんと言えば、現在上映中の木村拓哉さん主演の映画「マスカレード・ホテル」がとっても人気らしい。

この映画をきっかけに東野圭吾さんの本を読んでいる人も多いみたいだ。

そんな東野圭吾さんの大ヒット作、加賀恭一郎シリーズ第一作目「卒業」をレビューする。

 

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加賀恭一郎シリーズとは

 

東野圭吾さんの小説で、加賀恭一郎が推理を進めていく小説を

加賀恭一郎シリーズ、加賀シリーズと呼ぶ。

 

作品は発売順に

 

1 「卒業」
2 「眠りの森」
3 「どちらかが彼女を殺した」
4 「悪意」
5 「私が彼を殺した」
6 「嘘をもうひとつだけ」
7 「赤い指」
8 「新参者」
9 「麒麟の翼」
10 「祈りの幕が下りる時」

 

の10作品で、加賀恭一郎が大学生の時から物語は始まり、。教師を経て警察官になり事件を解決していく。

 

加賀恭一郎シリーズはドラマ「新参者」映画「麒麟の翼」「祈りの幕が下りる時」も人気だ。

ちょっと変わった個性あるキャラクターで、内にある情熱を燃やしつつも常に真実だけを追求する姿に心を動かされる。

 

 

「卒業」について

 

加賀恭一郎シリーズ第一作目で1986年に単行本が発売。

当初は「卒業―雪月花殺人ゲーム」というタイトルだったが、2009年の新装版からタイトルが「卒業」に変わった。

1986年・・・今から32年前だ。

そんなに昔から加賀恭一郎はいたのか。

ぎりぎり僕が生まれる前だ。

 

 

あらすじ

 

大学生で仲良し7人組の1人、祥子が入居していたアパートで死んでしまった。

当初警察は自殺だと判断したが、色々な矛盾点から他殺も視野に捜査を始める。

残された6人の友人は残された日記を頼りに祥子の死の真相を探す。

 

かつて茶道部にいたころの恩師、南沢雅子の家に事件の報告を兼ねて

毎年恒例の「雪月花之式」でお茶を立てている最中、仲間の1人、波香が全員の目の前で死亡する。

 

仲間のうち2人が短い期間に死んでしまったのは偶然なのか。

加賀恭一郎が事件の真相に迫る。

 

 

レビュー

 

まず近年の東野圭吾さんの作品からすると「卒業」は非常にトリックが難解だ。

本書は文字だけでなく、所々図が書かれていて、これを見た時、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」を思い出した。

 

本格ミステリーだが、大学生の生活や友人関係の複雑さも描かれていて人間のエゴや、友達って一体何なんだろうと考えさせられる。

 

友達がもし自分で死んでしまったら、その理由がすぐにわかるだろうか?

 

理由がすぐにわかれば、自分が救えたかもしれないと自責の念に駆られるし

理由がわからなければ、どうして自分に話してくれなかったんだろうと寂しくなる。

残された人間はこうして苦しむことになる。

 

後にタイトルから消えた「雪月花之式」という茶道の遊び(遊びという表現はもしかしたら違うかもしれない)を通して、茶道の奥深さも感じられる作品であった。

 

ここからは僕の個人的な話。

 

友達っていうのは非常にやっかいなものだと思う。

どんなに仲が良くて信頼できると思っていても

所詮は他人だ。

 

環境や状況が変われば、人間はどんどん変わっていく

どういう風に変わっても友人だ、と言い切れるような人間がこの世界に一人でもいるとしたら、それは友達100人なんかよりもずっと価値があるものだと思う。

 

僕はその一人を失ってしまった。

 

友達っていうのはやっかいだ。

所詮は他人、なのに、深く関われば関わるほど他人ということを忘れてしまいそうになる。

 

 

MUBOOK的評価

 

悲しい ★★★★☆
切ない ★★★☆☆
苦しい ★★★☆☆
暗い  ★☆☆☆☆
重い  ★★☆☆☆

合計 13/25★

 

病んでる度60%

 

どんな人におすすめ?

 

・学生ものの話を読みたい人
・難解トリックに挑んでみたい人
・加賀恭一郎シリーズを読んだことのある人

 

まとめ

 

加賀恭一郎シリーズ第一作目「卒業」は東野圭吾さんの作品の中でもトリックが難解だということだけでなく友達について考えさせられる作品だ。

加賀恭一郎の学生時代の話なのでシリーズを読んだことのある人は是非この一作目も読んでもらいたい。

 

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